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お金の価値は変化する!それをふまえて老後に備えるには?

厚生労働省の平成28年簡易生命表によれば、男の平均寿命は 80.98年、女の平均寿命は 87.14年。男女ともに全年齢で前年を上回る傾向が続いており、日本はまさに世界でも有数の長寿国です。本来「長寿」は喜ばしいことに違いありませんが、一方、長生きすることで老後に備えるために蓄えた資産を使い果たすリスクも発生します。しかも、世の中の経済環境によっては、その資産が目減りしてしまう可能性も! 起こり得る状況と、その対処法について、考えてみましょう。
出典:厚生労働省 平成28年 簡易生命表

物価上昇が続くインフレ時には、お金の価値が下がる

「日銀が物価安定目標を2%と定めたインフレターゲットの導入を決めた」「日本では、長年、デフレ傾向が続いていた」など、日本の経済状況をめぐる話のなかで「インフレ」、「デフレ」という言葉がしばしば登場します。そもそもインフレやデフレとは、どういった状態を指すのでしょうか。

インフレとは、「インフレーション」の略語で、物価が一定の期間持続的に上昇する経済現象のことです。基本的には、好況下でモノやサービスに対する需要が増加し、需要と供給のバランスが崩れ、需要が供給を上回っているときに発生します。物価が上昇すると、同じモノを買うのにも以前より多くのお金を支払わなければならないので、お金の価値は相対的に下がり、資産も目減りすることになってしまいます。

その極端なものが、これまでに世界各地で何度か起きた「ハイパーインフレ」です。ハイパーインフレは急速な勢いで進行するインフレ(国際会計基準では3年間で累積100%。年率約26%)で、多くは政府や中央銀行の政策が引き金になって起こります。例えば、アフリカのジンバブエでは、国内における通貨の過剰供給に加え、白人所有の農地の強制収用、外資系企業の株式強制譲渡法案の提出などが行われた結果、2000~2007年の7年間で物価が650万倍に上昇しました。7年前は100円だったバナナを買うのに、6億5000万円を支払わなければいけない計算です。もちろん、当時のジンバブエは、たいへんな混乱に見舞われました。

長年デフレが続いていた日本。経済の行方は、まだまだ見通せない

一方、デフレは、「デフレーション」の略語で、インフレとは逆に物価が一定の期間持続的に下落する経済現象のことです。一般的には、需要と供給のバランスが崩れ、需要が供給を下回っているときに発生します。物価が下落すれば、同じモノを買うのに以前より少ないお金を支払うだけですむので、お金の価値は相対的に上がります。同じ1万円でもデフレのときには、そうでない(デフレが起きていない)ときよりも多くのモノが買える反面、実質債務の増加や名目金利の低下を伴うため、企業の業績悪化、さらに国などの税収減につながりやすく、結果として給料が減ったり、失業率が増加したりするなどのデメリットも少なくありません。

日本では企業物価指数で1991年11月以降、GDPデフレーターで1994年第4半期以降、消費者物価指数で1998年9月以降、それぞれの数値がデフレを示し、2001年3月には政府も日本経済が「緩やかなデフレ」状態だと公式に認めました。2009年にも政府と日本銀行がともに、日本がデフレ状態にあることをあらためて認めています。

その後も日本経済の停滞が続いたことから、デフレこそが不況の主な原因と考えた安倍晋三政権において、日銀は、2013年の日本銀行金融政策決定会合で物価安定目標を2%と定めたインフレターゲットの導入を決め、政府と日銀が一体となり物価目標達成に取り組むことを発表しました。日本銀行の大規模な「量的・質的金融緩和」(異次元緩和)によって、いったんは物価上昇の兆しが見えたものの、4年経った現在ではその上昇率も鈍化。日本経済の行方は、まだまだ見通せない状況が続いています。

インフレ、デフレから資産はどのように守ればよい?

今後が見通しづらい今の日本の経済状況下では、物価の上昇が続いてインフレ傾向になる可能性と、思うようには物価が上昇せず、すぐにはデフレを脱却できない可能性の両方が考えられます。つまり、この先も資産を守るためには、どちらの状況にも対応できるような備えをしておく必要がありそうです。

インフレ時の物価が上がり続ける局面では、お金ではなく、不動産や金など、モノで持っておくのが有利とされます。また、株式も、急激な物価上昇のケースを除けば、比較的インフレに強い資産といわれています。資産の一部をこれらに振り分けておくことは、ひとつのインフレヘッジ対策になるでしょう。

とはいえ、資産運用に慣れていない人は、不動産や金、株式に投資した場合、価格変動に一喜一憂させられる可能性が少なくありません。また、実物の不動産や金地金への投資にはまとまった金額が必要だったり、個別株式では優良な銘柄を選別しなければならなかったりする点で、ややハードルが高いといえます。

投資信託は、運用のプロが株式や債券、不動産、コモディティ(商品)など投資対象を幅広く分散させながら投資を行い、その運用の成果を投資家の持ち分にあわせて分配してくれる金融商品です。一般的に1万円など(投資信託積立ならば、100円から始められる金融機関もある)の少額から購入可能なため、投資の一歩を踏み出しやすいでしょう。

なかでも、日経平均株価やアメリカのダウ平均株価といった「指数」に連動する投資成果を目指すインデックス型ファンドは、ニュースなどで見聞きする機会が多く値動きを把握しやすい上に、運用管理費用(信託報酬)などのコストが安いというメリットがあります。また、バランス型ファンドは、1本で複数の資産(投資対象)に分散投資でき、自分でリバランスをする手間ヒマもかかりません(運用管理費用などのコストの安いものを選ぶのもポイントの1つです)。どちらも、初めの一歩に向いた商品といえます。

少々意外に思えるかもしれませんが、生命保険を利用して物価上昇に備えるのもひとつの方法です。例えば、金融市場の変化に連動して、万一に備えながら、資産を形成できる生命保険もあります。

一方、デフレで物価の下落が続く局面では、相対的にお金の価値が上がることになります。そのため、お金を「守る」ことを重視するのであれば、早期のうちに資産全体に占める現金や預貯金、国債などの比率を高めることも考えられます。ただし、これは「増やす」ではなく、「守る」を念頭に置いた場合の方策です。

老後資金の準備は、私たちの誰もが対応すべき大きなテーマです。安心して老後を過ごすことができるよう、インフレ、デフレ、それぞれへの対応策を知り、各金融商品の強みとリスクをよく認識して上手に付き合いながら、賢く資産を守ることを考えてみませんか。

監修:大山 弘子
(All About「新興国投資・ETF」ガイド)
「わかりやすく、取っつきやすい」を意識した資産運用や投資、金融商品に関連する記事の執筆、書籍などの企画・構成を行っている。

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