• TOP
  • 健康のヒント
  • 「ストレスと上手に付き合う」って、どういうこと?

健康のヒント

「ストレスと上手に付き合う」って、どういうこと?

生きるうえでは、少なからず誰もが感じている「ストレス」。そのすべてを排除しようとするのではなく、上手に付き合っていくことが大切です。でも、「ストレスと上手に付き合う」とは、一体どういうことなのでしょう? ストレスの専門家に、心と体を健やかに保つためのヒントを教えていただきました。

ストレスとは“人生のスパイス”である

「ストレスがたまる……」「ストレスを発散しよう!」
私たちの生活の中で、しばしば登場する「ストレス」。そもそも、ストレスとは一体何なのでしょうか?

ストレスとは、外部から刺激である「ストレッサー」を受けたときに生じるゆがみのこと。仕事が忙しい、人間関係がうまくいかない、体調が悪い……。こうした日常生活におけるさまざまな刺激にさらされたときに、ストレス反応が生じます。

ストレスに関する研究を行っていたカナダ人の生理学者ハンス・セリエによると、ストレス反応には大きく分けて3つの段階があり、心身のメカニズムと密接に結びついているとされています。

1.  警告反抗期
ストレスを受けると、一時的に身体の抵抗力が下がります。しかしその後、ストレスから身を守るために身体が防御態勢をとり、低下した抵抗力が上がり始め、心身の活動が活発になります。

2.  抵抗期
さらにストレスが続くと、それに適応するために高い抵抗力が維持されます。身体が活動的になるため、休息を減らしても精力的に働けることが多くなり、「ストレスに強くなったのかも?」と感じやすい時期です。

3.  疲憊(ひはい)期
抵抗期に適度な休息をとるなどして体調管理とのバランスをとらないでいると、ストレスに適応するエネルギーが枯渇してしまいます。すると、ついには心身がダウンし、さまざまな病気を発症してしまいます。

「ストレス」というとネガティブなイメージを抱きがちですが、ストレス反応の段階によっては、心身が活発になり、エネルギッシュになります。しかし、過剰にストレスがかかりすぎると疲弊してしまうのです。

ストレスは“人生のスパイス”と表現されます。つまり、ストレスは必ずしも悪いものばかりではないのです。例えば、「疲れ」というストレス反応が生じなければ、働きすぎて体を壊してしまうでしょう。また、「不安」や「不満」というストレス反応が生じなければ、努力をするエネルギーも生まれないかもしれません。生きるうえで感じるすべてのストレスを排除しようとするのではなく、それらと上手に付き合っていくことが大切なのです。

ストレスを感じやすくしてしまう考え方に注意!

ストレスを感じやすいときは、ネガティブな思考回路になったり、物事を客観的に見られなくなったりする“ストレス思考”に陥りやすい傾向にあります。以下のような思考に当てはまっていないか、チェックしてみましょう。

オールオアナッシングの「○×思考」
「××できない人は負け組、できれば勝ち組」「○○くらいできないと生き残れない」などと、物事を白黒や結果で認知しようとする。

「○○してくれない」が口癖になっている
「誰も評価してくれない」「誰もかまってくれない」などと、「○○してくれない」という思いをひんぱんに抱く。

「あの人」と「あのとき」にいつもイライラ
「あの人はなぜ、いつもこうなんだろう」「なぜあのときこんなことを言ってしまったのか」などと、他人や過去のことに執着する。

「どうせ~」「面倒くさい」……愚痴っぽい言葉がすぐ出る
ささいなことに対しても、不快に感じてネガティブな言葉がすぐ出てしまう。

ネガティブな思考回路に陥ってしまうときは、発想の転換をして、前向きな考え方に切り替えることが大切。それが、ストレスと上手に付き合うポイントのひとつです。

“気づき”から始めるストレスマネジメント

ストレスと上手に付き合うにはまず「ストレスマネジメント」を行うことから始めます。ストレスマネジメントとは、まず、自分自身のストレス反応に気づき、心身の状態を調整することです。例えば、眠れないことを「疲れているから」「寝不足だから」で片づけず心の不調を疑ってみたり、“ストレス思考”になっていないかをチェックしてみたり……。そうすることが、ストレスによる症状の悪化を防ぎます。

また、ストレスを解消するための具体的な行動を起こすことも大切なストレスマネジメントです。身近に行える解消法には、以下のようなアクションが挙げられます。

リラクゼーション
リラクゼーションの最も手軽な方法は、呼吸法です。ストレスに苛まれると呼吸が浅くなりがちなので、意識的に腹式呼吸を。深く息を吸い込むことで体中によい“気”が取り入れられ、深く息を吐くことで体中の“悪い気”が排出されるようイメージするとリラックスできます。

ストレッチ
長時間同じ姿勢でいると、一部の筋肉が緊張した状態が続き、血流が滞ります。いわゆる、「コリ」の状態です。ストレッチは、コリをほぐし、張り詰めた心の緊張も緩める効果があります。

適度な運動
無理をせず、「適度」に運動するのがポイント。野球やテニスなどで楽しく体を動かしたり、心地よい疲れを感じる程度のウォーキングに励んだりすれば、満足感や達成感を得られます。

快適な睡眠
必要な睡眠時間は人それぞれ。「快適な睡眠」とは、寝覚めが気持ちよく、日中に眠くならない睡眠のことです。日中に眠気を感じたり、週末に平日より3時間以上長く眠ってしまう人は、睡眠不足かもしれません。

親しい人たちとの交流
心の中にある不安やイライラを誰かに話すことで、気持ちが落ち着いたりスッキリしたりします。言葉にすることで気持ちが整理され、アドバイスをもらえたり、自ずと解決策を見出せたりすることも。

笑う
笑うことには、自律神経のバランスを整え、免疫力を正常化する効果があるといわれています。ぜひ、日常生活に笑いを取り入れましょう。

ウォーキングを習慣にして、ストレスと上手に付き合おう

ストレス解消法として毎日の生活にぜひ取り入れたいのが、適度な運動です。運動によって得られるのが、体を気持ちよく動かし、心地よい汗をかく爽快感。この爽快感がストレス軽減に大いに役立ちます。また、運動で体力がつくと、心のキャパシティも広がり、疲れに強くなったり自分に自信がついたりします。その結果、冷静な判断を下せるだけの心の余裕が生まれ、多くのストレスをやり過ごせるようになるのです。

運動の中でも特におすすめなのが、手軽に始められて続けやすいウォーキング。気ままに歩けばそれだけでもリフレッシュになりますが、ウォーキングがストレス解消に有効なのは、気分的なものばかりではありません。

リズム運動を意識しながら一定時間歩き続けると、セロトニン神経が活性化されます。セロトニン神経が活発になり、“幸せホルモン”とも呼ばれるセロトニンが多く分泌されると、心を安定した状態に保てます。ウォーキングによって気持ちが整えられたり、仕事への集中力が高まると感じられるのは、こうして心身の状態がよりよく変化しているからなのです。

生きていくうえでは、誰しもが抱えるストレス。だからこそ、なくす努力をするのではなく、上手に付き合っていくことが、健康で前向きな毎日を送るコツです。

監修:大美賀直子
(All About「ストレス」ガイド)
メンタル・ジャーナリスト。精神保健福祉士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタントの資格をもち、カウンセラー、研修講師としても活躍中。