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「睡眠不足」がたまった「睡眠負債」に気をつけよう

「睡眠負債」という言葉を耳にしたことはありますか?程度の差こそあれ、睡眠不足なら、多くの人が経験したことがあるでしょう。「睡眠負債」は、さまざまな面で、単なる睡眠不足よりも深刻なダメージをもたらすものです。「睡眠負債」とその影響を解説するとともに、どうすればそれを解消できるのかをお伝えします。

「睡眠不足」と「睡眠負債」いったいどこが違うの?

睡眠と覚醒のリズムは、「体内時計」と「睡眠物質」の2つによってコントロールされています。夜になったら眠くなり、朝になったら目が覚める……というのが、体内時計の働きです。一方、長い時間起きていると睡眠物質が脳にたくさんたまって眠くなり、眠っている間に睡眠物質が分解されてその量が減ると目が覚めます。

この睡眠・覚醒のメカニズムをふまえれば、いくらたくさん眠っても「寝だめ」はできません。体内時計は多少ズレることはあっても、一定のリズムを刻み続けます。そのため、睡眠不足に備えてあらかじめ長時間眠ろうとしたところで、普段起きている時間帯にはなかなか寝つけないでしょう。また、仮に長時間眠れたとしても、脳に蓄えられる睡眠物質の量に余裕が生まれるわけでもなく、起きてからある程度の時間が経過すれば、いつも通りに睡眠物質がたまって眠くなるのです。つまり、起きている間にたまった睡眠不足を眠ることで返すというのが、睡眠の本来的なメカニズムともいえます。それを十分に返せていない状態は、「睡眠の借金」をしているようなもの。睡眠医学の分野において、睡眠不足のことを「睡眠負債」と呼ぶのは、まさに言い得て妙なのではないでしょうか。

さて、ここでは、毎日の睡眠が足りない量を「睡眠不足」、睡眠不足が積み重なってより重症になっている状態を「睡眠負債」と分けて、話を進めていきます。

心身を損なう「睡眠負債」による損失額は15兆円にも!

「睡眠負債」は、脳の働きを低下させ、強い疲労感や倦怠(けんたい)感、無気力、意欲低下、不安、抑うつ気分、落ち着きのなさ、注意力散漫、協調性の欠如、攻撃性の高まりなどの原因になります。また、食欲不振や胃腸障害、筋肉痛が現れたり、風邪をひきやすくなったりすることもあるでしょう。

さらに深刻なケースでは、ガンや認知症、うつ病を招く可能性も指摘されています。短い睡眠時間=寝不足(睡眠負債)とは必ずしもいえませんが、睡眠時間が短いとガン細胞が増えやすくなったり、脳細胞に「ゴミ(老廃物)」がたまりやすくなったりするという研究があるのです。

体に明らかな不調が見られなくても、日常生活に支障が出ることもあります。たとえば、仕事においては、能率が落ち、ミスや失敗を起こしやすくなるでしょう。アメリカのシンクタンク「ランド研究所」は、日本での睡眠不足による経済損失をなんとGDPの2.9%に相当する15兆円にも上ると試算しています。「睡眠負債」が招く効率の低下、病欠や労働意欲の低下、死亡リスクが、具体的な経済上の損失にまで結び付いているのです。

あなたは大丈夫?「睡眠負債」のたまり具合をチェック!

「睡眠不足」を自覚していても、それが「睡眠負債」の状態にまで陥っているとは自分ではなかなか気づかないもの。そこで、下記の10項目の質問に答えて、あなたも「睡眠負債」の程度をチェックしましょう。

1. 寝つきが悪い
2. 週末や休日は、平日よりもかなり遅い時刻まで眠っている
3. カフェイン入りの飲み物やタバコを切らさない
4. 寝る直前まで、スマホ、PC、テレビを見ている
5. いつも疲れている。ダルい
6. 他人の言動にイライラしがちである
7. 気が散りやすく、集中力が続かない
8. 食欲不振である
9. 胃腸の調子があまりよくない
10. 風邪を引きやすい

当てはまった項目が…
・0~2個=「睡眠不足」完済タイプ
日々の睡眠は、十分足りています。今のライフスタイルをこのままキープしましょう!
・3~6個=「睡眠不足」疑いタイプ
ひょっとしたら、睡眠不足かも。毎日の睡眠時間を1~1.5時間増やしてみてはどう?
・7~9個=「睡眠負債」初期タイプ
心身の調子が今ひとつなのは、「睡眠負債」の可能性が。この後紹介する方法で解消を。
・10個の人=「睡眠負債」濃厚タイプ
心身ともに限界! 専門家に相談するなどし、ライフスタイルをあらためて見直して。

夜の睡眠時間を確保できないなら、2種類の昼寝を

「睡眠負債」を解消するための基本的な方法は、夜の睡眠時間を長くすることです。「睡眠負債」を減らして脳をすっきりさせ、日中のパフォーマンスを高めたいのなら、6~8時間の睡眠時間を確保しましょう。平日に睡眠時間を増やせないなら、休前日や休日の夜は今より1時間早く寝床に入り、休日の朝は平日より2時間遅く起きると、体内時計の調子を崩さずに週単位で睡眠時間を増やせます。

夜の睡眠時間の確保がどうしても難しいときには、昼寝を活用しましょう。その場合に基本となるのが、平日に20分間眠る「パワー・ナップ」と、休日に1時間半眠る「ホリデー・ナップ」です。

パワー・ナップは、正午から午後3時までの間にとる20分間の昼寝。本来は午後の眠気がピークとなる午後2~4時にとるのがベストですが、日中働いている人には無理かもしれません。現実的には、昼休みの前半で昼食をとり、後半に机に突っ伏したり椅子にもたれかかったりするなどして20分間眠るとよいでしょう。パワー・ナップの前にカフェイン摂取しておけば、目覚めるころにカフェインの覚醒効果が現れ、クリアな頭で午後の仕事に臨めます。

一方、ホリデー・ナップは、休日にとる90分間の昼寝です。90分間というのは、睡眠のリズムでちょうど目覚めやすい時間に当たります。ただし、遅い時間帯に仮眠すると、夜の睡眠に悪影響が出るため、午後3~4時までには起きるようにしましょう。

睡眠の質を高めて、「睡眠負債」を減らす

また、「睡眠負債」を減らすためには、睡眠の質を高めるのも効果的です。

①眠る1時間前、遅くとも30分前には、テレビやDVD、パソコン、タブレット、ゲーム機、スマートフォンは使わない
②食事は、眠る2~3時間前にとるようにする
③就寝直前に入浴する際は、お湯をぬるめにする

などといった生活習慣は、睡眠の質を高めてくれます。
今は睡眠の質を計測できるデバイス・アプリもあるので、実際に自分の睡眠の質が高いかどうか確かめてみると良いでしょう。

ウェアラブル型の活動量計を使えば、睡眠時間や1日の歩数が手軽に計測可能です。

東京海上日動あんしん生命の「あるく保険アプリ」とウェアラブル端末を連携させることで、睡眠時間と深い睡眠・浅い睡眠の内訳や、推移の記録が可能になります。

「睡眠負債」は、心身の健康にとっても、世の中にとっても、「百害あって一利なし」。健康で充実した毎日を送るためにも、「睡眠負債」かどうかを早めにチェックし、今回ご紹介した方法を実践するなどして、「睡眠負債」の解消に努めましょう!

監修:坪田 聡
(All About「睡眠」ガイド)
日本医師会、日本睡眠学会、日本コーチ協会所属。ビジネス・コーチと医師という2つの仕事を活かし、行動計画と医学・生理学の両面から、睡眠の質の向上に役立つ情報を発信。

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