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歓送迎会シーズンに知っておきたい "悪酔い・二日酔いしないお酒の飲み方"

歓送迎会シーズン到来! この時期は、どうしてもお酒を飲む機会が増えます。酒席で楽しく過ごすのはもちろん、疲れまで取ることができたら、一石二鳥だと思いませんか? 「酒は百薬の長」とは、古くからあることわざ。悪酔い、二日酔いに悩まされるのではなく、お酒を有効に利用できるかどうかは、実は飲み方次第なんです。

「百薬の長」って、ホント? お酒の効能

お酒は、人にとって良い作用と悪い作用をもたらします。まずは、良い作用からご紹介しましょう。

■食欲がないときに適量(1合程度)を飲酒すれば食欲が湧く
アルコールは、3つの方向から、人の食欲を刺激します。第一には、本能的な部分を司る脳の部分の働きを活発化させることによってです。第二には、消化酵素の分泌を促進して胃への血流をよくし、胃の働きを活発にして消化運動を盛んにするためです。そして、第三には、ブドウ糖に対してインスリンというホルモンの分泌を刺激する作用を強め、血糖を下げることで、食欲を引き起こさせます。

■気分が楽しくなり、ストレス解消につながる
お酒に含まれるアルコールは、人の理性に大きくかかわる大脳新皮質の働きを鈍くします。そうすると、感情や衝動、食欲などの本能的な部分を司る大脳旧皮質や大脳辺縁系の働きが活発化し、ストレス解消になるのです。

次は、悪い作用について、ご説明しましょう。

■食べ過ぎてしまう
先にご説明した「食欲が湧く」という作用によって食べ過ぎてしまうことがあります。

■アルコールによって、低血糖を起こすことがある
特に糖尿病などで血糖降下薬を内服していたり、インスリンで治療したりしている人の場合は、食事を十分取らずに飲酒したり飲みすぎたりすると低血糖の度合いが強くなって脳へのダメージにつながりかねず、酷い場合は昏睡状態になる可能性もあるため、注意が必要だといえます。

■ネガティブな感情を抱いていると、それを増大させてしまう
アルコールによって大脳新皮質の働きが鈍くなり、感情や衝動を支配している部分が活発化するために、心の内にあるネガティブな感情もいっそう強く表れることがあります。

■二日酔いになることがある
これは、皆さんもよくご存じの通りですね。

悪酔い、二日酔いは、どうして起きる?

お酒を飲み過ぎると、悪酔いによる吐き気や二日酔いを起こすことがあります。なぜ、そのようなことが起きるのでしょうか?

悪酔いにはアルコールそのものとアセトアルデヒドの影響、二日酔いではアセトアルデヒドなどの影響があります。

■アルコールの直接作用
アルコールが胃や小腸から吸収されると、血中アルコール濃度が高くなります。その結果、アルコールの直接作用によって、脳をはじめとする中枢神経系が抑制され、小脳の機能が低下するなどして、ろれつが回らない、まっすぐ歩けないという運動機能の障害が表れます。そのほか、嘔吐、血圧低下、呼吸が抑えられるなどの症状も、アルコールの直接作用によってもたらされる可能性があるものです。また、アルコールを大量に飲むと、胃粘膜が痛み、アルコール性胃炎を引き起こして、空腹時の胃痛や胸やけ、ゲップ、吐き気、食欲不振などの症状につながります。

■アセトアルデヒドが起こす「二日酔い」
また、アルコールは、肝臓に送られたのち、代謝の過程でアルコール脱水素酵素(ADH)により酸化され、アセトアルデヒドになります。アセトアルデヒドは人体に対し有毒で、アルコールの利尿作用による脱水症状も加わって、頭痛、嘔吐・吐き気、喉の渇き、胸のむかつき、体の震えなどの症状を引き起します。これが、いわゆる「二日酔い」の原因です。

■ほとんどお酒が飲めない人の場合は……
お酒を飲み過ぎると悪酔いや二日酔いを起こしますが、お酒を飲み過ぎるどころか、少し口にしただけでも気分が悪くなる、ほとんどお酒が飲めない人たちもいます。これには理由があります。

アルコールは肝臓でアセトアルデヒドに変わった後、さらに2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)という酵素の働きによって無害な酢酸へと変化します。このALDH2には、酵素の活性が強いタイプ、弱いタイプ、活性がまったくないタイプの3つの型があります。そのために、活性が強いタイプの酵素を持つ人はお酒が強く、活性が弱いタイプの酵素を持つ人はお酒に弱く、活性がまったくないタイプの人はお酒がほとんど飲めなくなるのです。自分がどの型を持っているかは親から受け継ぐ遺伝子の組み合わせによって決まるので、後天的に変わることはありません。
お酒に弱い人は強くなろうとして無理に飲みすぎるのではなく、自分の体質に合った飲み方をしましょう。

こんな飲み方だと、悪酔い、二日酔いしやすい!

ところで、悪酔い、二日酔いしやすいのは、一体どんな飲み方なのでしょうか?

■過度のお酒を毎日飲む
厚生労働省が推進する国民健康づくり運動「健康日本21」によると、「節度ある適度な飲酒」量は、1日平均純アルコールにして約20g程度だとされています。それよりも大量のお酒を毎日飲むと、血液中に含まれる脂肪の数値が上がって、脂肪肝や肝障害につながり、肝臓の機能が低下していきます。さらに、毎日お酒を飲むことでアルコール依存症になれば、よりアルコールを求めてお酒の量も増え、悪酔い、二日酔いを引き起こしやすくなるでしょう。

■一度に適量をかなり超えて飲む
言うまでもなく、一度に適量をかなり超えて飲めば、悪酔い、二日酔いします。アセトアルデヒドを酢酸に変える酵素ALDH2の型や年齢、性別、体格などによって、それぞれの人の適量は異なりますが、アルコールやアセトアルデヒドの分解、代謝が間に合わなくなった場合、悪酔い、二日酔いを起こすのです。

■さまざまな種類の酒を飲む
昔から「チャンポンをする(一度にいろいろな種類のお酒を飲む)と、酔いが早く回る」といわれますが、実際には多くの種類のお酒を飲んだために悪酔いするわけではありません。ただ、お酒の種類を変えることで飲み飽きにくくなり、自分の適量を超えて飲んでしまったり、異なるアルコール度数のお酒を何種類も飲むことで、どれくらいのアルコールを摂取したか自分で把握できなくなったりする可能性が高まります。

■何も食べずにお酒を飲む
空腹でもともと血糖値が下がっているにもかかわらずお酒を飲めば、アルコールが吸収されやすくなります。そうすると、低血糖につながりかねないばかりか、血液中のアルコールとアセトアルデヒドの濃度が上昇するために、悪酔いもしやすくなるのです。

お酒で疲れを取る上手な飲み方とは

それでは、逆に、お酒のよい効能だけを利用して悪い作用の影響を受けない、疲れを取るための上手な飲み方とはどんなものでしょう?

■1回に飲む量は、日本酒換算で1~2合程度に
お酒の適量は個人差があり、同じ人であってもその日の体調などによって酔い具合が異なるため、一概にはいえません。ただ、社団法人アルコール健康医学協会「新適正飲酒の手引き お酒と健康ライフ」によれば、酔いの6段階のうち、心身にネガティブな影響が出にくいのは、下から2段階目の「ほろ酔い期」までです。「ほろ酔い期」の酒量は、日本酒換算で1~2合に相当します。

■おいしいものを食べながら飲む
空腹時にお酒を飲むと、アルコールが吸収されやすく、悪酔い、二日酔いを起こす可能性が高くなります。お酒と一緒に食事をとれば、食物が胃の粘膜の上に層をつくり、胃を荒れにくくして、さらにアルコールの吸収を遅らせてくれます。また、飲酒のペースダウンにも効果的です。一緒に食べるものに関しては、飲酒中はアルコールによってミネラルやビタミンが失われやすいので、それらを豊富に含む野菜類などの植物性食品を多くとることを心がけましょう。タンパク質はアルコールの吸収を抑え、カロリーも脂肪より高くないため、タンパク質を含む食べ物を摂取するのもよいでしょう。

■楽しい雰囲気で、気の合う人たちと飲む
お酒を飲んだときには、多かれ少なかれ、理性の働きが弱くなります。ネガティブな感情を助長することなく、リラックスの効果を最大限得るためにも、自分が好ましく思う人たちと楽しい時間を過ごすのが肝要です。

■休肝日を週に1~2日はとる
お酒を飲まなくても、肝臓は体内の代謝や解毒のために働き続けています。それに加えて、お酒を飲み続ければ、肝臓への負担は大きくなるばかり。お酒で疲れを取る上手な飲み方をするには、肝臓の機能の維持が不可欠。忘れずに、休肝日をとりましょう。できれば月に一度は1週間ほど休む期間も設けるとよいでしょう。

お酒と上手に付き合って、ぜひ自分にとっての「百薬の長」としたいものですね!

監修:清益 功浩
(All About「家庭の医学」ガイド)
医学博士。日本小児科学会認定専門医、日本アレルギー学会認定専門医・指導医。

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